少なくとも選挙の本質が「戦い」であることは、私宮岡治郎としても既に喝破している事柄です。すなわち、当落といった結果を考慮すれば、首長選挙や小選挙区のように1議席を争う選挙は勿論、中選挙区や大選挙区で同じ政党の候補間の「票割り」はあっても、ライバル政党間での妥協や譲歩は無いものと考えなくてはなりません。
しかし、選挙活動以外の政治活動においても、臨戦態勢を執るのが、政治の任に在るものの心掛けである、と思えるようになりました。政治とは、意外な程に憩いの無い、休みの無い、ぎりぎりの駆け引の世界なのです。
その「好例」が、先月5月26日の衆議院の決議です。前日に、北朝鮮の核実験への抗議行動です。前日の核実験の直後に「北朝鮮核実験実施に対する抗議決議」として、全会一致で議決したものです。政党間の争いの場合と違って、国家的な危機においては、即断即決の行動が取れなければ、国会としての機能が果たせません。
決議文は、細部にわたってよく練れています。今回の核実験が予め予想されたものとはいえ、この事態に予め対応しておいた証でしょう。外交や防衛について、常日頃議論していることや、政治的な反射神経を鍛えていることが、このような即応性の結びついているとも思われます。
今回の「抗議」議決は、超党派の全会一致となっていますが、北朝鮮に対して衆議院の断固たる姿勢を取ることを最優先したものと思われます。
「朝鮮民主主義共和国」といった正式名あるいは少なくとも北朝鮮の「自称」を含まないのは、「民主主義」や「共和国」といった名に値しない、との意味合いもあるでしょう。「国連決議」や「六者会合」(6カ国協議)だけではなく、国会が批准した「日朝平壌宣言」を引用して記述しています。
「核不拡散体制」、「唯一の被爆国」、「核廃絶の気運の高まり」、「朝鮮半島の非核化」に加えて、「拉致問題」を「核」や「ミサイル等」と同列の諸課題として、外交努力を「倍加」する、といった網羅的で厳しい内容となっています。
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