埼玉県には通常で考えられるいわゆる「空港」がありません。航空自衛隊の基地は、軍民共用では有りません。また、小型飛行機の飛行場は、通常の民間旅客機の空港とは、別のものでしょう。
日本全国には多くの県に、民間航空機の定期路線の就航する空港があります。その意味では、埼玉県には空港は有りません。海無し県の埼玉県には、船の港も、飛行機の港もないのです。空港整備は都道府県の事業であるためか、空港が「未整備」であるとして、「空港空白県」といった範疇があった、と記憶しています。
11月6日(金)の、読売新聞朝刊1面に、2段で「日航16路線廃止」の記事があります。国内線の8路線のうち、3路線が中部国際空港、4路線が神戸空港、そして1路線が北九州空港を一方の発着点とています。皮肉なことに、極近年に開港した空港が、早くも需要の開拓を指向するどころか、著しく需要の少ない路線を抱えた空港となっています。
とりわけ、神戸と羽田を結ぶ路線や、神戸と札幌を結ぶ路線、神戸と那覇を結ぶ路線の廃止は、神戸空港そのものの廃止に結び付く可能性を示唆しているでしょう。
私宮岡治郎は、1980年代以来近年まで、首都圏第3空港として、横田空港や入間空港を考察してきました。ニューヨークやベルリンなどの大都市に、それぞれ3つの空港があること、羽田が南、成田が東に位置することから、東京の西、あるいは東京の西北西に、もう一つの空港が配置される必然性がある、と直感してきたからでもありました。
首都圏とは規模が多少小さいものの、政令指定都市の神戸が、伊丹、関空につづいて、神戸空港を開港することに、半信半疑ながら、それなりの意義を容認してきました。
ところが、現今の顛末です。関西圏の第3空港は無用であった、といわざるを得ません。まして、周囲に大きな空港需要の見込めない、米軍横田基地や自衛隊入間基地を、本来の軍事的機能を低下させてまで、軍民共用空港にする意義はありません。いかなる、航空会社も就航に食指を動かさないでしょう。
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