科学者で随筆家の寺田寅彦(1878~1935)は、夏目漱石の門下生であり、師の『猫』や『草枕』に通ずるような、世俗を超越した高踏主義と巷間の人間味を具備した文章を、数多く残しています。しかも、科学者としての自然現象への合理的な接近(アプローチ)を常とし、社会制度や社会現象も知悉しており、精度の高い内容となっています。
1935年(昭和10年)7月11日に発生した、静岡県を震源とする地震の視察を、同月14日に実施。その記録を非公式に女性雑誌『婦人之友』9月号に掲載した文章で読みました。
題して『静岡地震被害見学記』ですが、実態は帝国大学教授として、視察団の団長として、『静岡地震』の『学術視察団長』として、東京から日帰りの先遣隊として、『視察』(見学)を実施した、と言う事でしょう。
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