地方自治の行政を担う市役所についての苦情の最たるものは、住民の要望からそれた方向に、実際の行政執行が実施されている点でしょう。民間企業であるならば、消費者の要望とかけ離れた商品の販売やサービスの提供をしても、消費者が拒否することで、商品の形態・品質・価格等について、あるいはサービスの質・時間帯・料金等について、再検討しなければ、業態の存続、ひいては企業の存続も厳しくなるでしょう。
住民からは、法令や条例規則によって、強制的に税金を取り立てて、一方その使い道については、必ずしも住民の要求通りに執行せず、はなはだしい場合には、全く反対の方向に予算が費消されこともあり得ます。
特定の業者、特定の住民に特化された予算の配分は論外です。その上で、一般職の公務員は、対外的な困難を避ける傾向があり、役所内の煩雑な業務に埋没するきらいがあるものです。黒澤明監督の映画『生きる』(1952年制作)で、見事に描かれているように、社会全体の大きな弊害となるでしょう。
一例として分かり易いのが、土地区画整理事業での街路築造工事の順序です。幹線道路、準幹線道路、細街区道路の優先順序で整備するのが、整理地内の住民にとって、最も効果的であるのは、論を俟たないでしょう。ところが、地権者との交渉の難航など諸々の事情によって、途切れ途切れの細街路だけが先に出来てしまうことが、往々にあります。
「地権者のご理解が得られない」といった理由付けがなされますが、実態について一歩深く検証しなければならないと考えています。
コメント