中国古代の兵法書『孫子』に、「勝ち易きに勝つ」といった言葉があります。「このような手段を用いれば、誰でも勝てる」といった方法で勝つのが、最も負担(犠牲)が少なく、好ましい勝ち方である、といった意味です。
(軍形篇四: 古之所謂善戦者、勝於易勝者也)
その結果、その勝った軍の参謀は、智謀の名声を上げる事もなく、将兵は勇気や功績を称えられることも無い、と結んでいます。明らかにそれと分かるような、パーフォ-マンスを諌める警句とも受け取れます。
(故善戦者之勝也、無智名、無勇功)
ところが、商売上では、「勝ち易きに勝つ」手法は、同業者の嫉妬を買うものである、という現実を知りました。「勝ち易きに勝つ」とは、自然体で楽に勝つとった意味合を含みましょうが、浮世の習いとして、何らかの通過儀礼的な労苦を示さねば、済まされないようです。
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