午後9時半頃から11時45分頃まで、日本テレビで放映された、ドラマ『遠まわりにの雨』を鑑賞しました。脚本山田太一、主演渡辺謙、夏川結衣でした。
フィクションとはいえ、東京大田区蒲田の町工場が舞台です。私は、議会の委員として、大田区視察を企画した事があり、それが今だに実現出来ないといった欲求不満がありました。その代償行為が鑑賞の動機付けにありました。その意味では、「蒲田の町工場」の一端に触れることが出来ました。
脚本家や主演者が大御所的な存在で、重厚な出来栄えでしたが、もう少し他の工夫もあったのではないかと考えました。主人公福本草平の妻万里(田中美佐子)の行動や演技の方が、「さもありなん」と納得できました。
昔自分を棄てた恋人の女性の頼みで、その夫の会社(事業・任務)を助ける、といった設定は、往年の名作映画『カザブランカ』的であり、努力の甲斐も無くコンピュータ(鮫との格闘)に敗れるが、自身の矜持を取り戻すといった主題は、ヘミングウエーの小説『老人と海』を想起させます。
事情が事情だけに、一線を越えるのを潔しとしない草平に、「そう言うと思った」と2回も応じる秋川桜(夏川)は、主人公達にとっても、鑑賞者にとっても、救いの様にも受け取れます。
しかし、『カザブランカ』のリック(ハンフリー・ボガード)のような粋な別れとはなりません。主人公はそんなに「格好良くは」ならず、最後の最後にうろたます。本音のドラマの時代です、男の本音を正直に描いている、ということでしょうか。
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