日本で、過去40~50年の間に新設、あるいは延伸された鉄道は、道路とは立体交差の構造となっており、道路との平面交差、すなわち「踏切」は、皆無であろうと思われます。
街路の中央部を縦貫する「ストリートカー」(路面電車)や、サンフランシスコの坂道を上下する「ケーブルカー」(鋼索鉄道)、近年日本で地方都市によっては、再評価されつつある「ライトレール」(軽量軌道交通)は、広義に解釈すれば「鉄道」あるいは「電車」ですが、「電車」と名乗っていても、実質的に道路上を走行する、これらの「路面電車群」は、この論考では、「鉄道」に含みません。
元来が、鉄製の巨大な牽引機関車と貨車、客車等を連ね、集合体として「列車」と呼ばれる、大量遠距離輸送交通手段は、その膨大な荷重に耐えられる定められた鉄路の上にのみ存在し、そこのみを棲家とします。
そのような、歩行者や自転車、自家用車、更に貨物車、トラック、バス等、とも構造の規模や走行の範囲、所与の条件の異なった「鉄道」を、他の地上の交通機関と分離すべく、立体化すなわち「高架化」を推進すべし、というのがこの緒論を始めとする論考です。
地下鉄も「立体化」の有効な手段ですが、人口百万単位の大都会のみで成立するものであり、部分的な地下化やトンネルは、高架化のヴァリエーションに含んで論じたいと考えます。
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