鉄道は、「紆余曲折」に馴染みません。左右についても、上下についてもです。それ故に、直線で勾配の少ない軌道で、その本分を最大限発揮するようです。JR中央線の東中野駅~立川駅間の一直線区間などがその典型ですし、今や日本全国に展開する新幹線も、本質はなお一層あてはまるでしょう。
したがって、地理的な所与の条件や都市基盤の構造体とは馴染まないでしょう。究極の例が「リニア新幹線」の計画で表示される、東京~大阪間のほぼ一直線の「鉄路」です。長野県内での北への迂回も撤回あるいは、県側で断念されたようです。山梨県内の実験線も完全な一直線です。
この論考では、在来線の高架化の推進を論じてみたいと考えます。古くから開通している道路と平面交差の鉄道は、交通量も少なく、速度も少なく、一方で土木技術や機械化の未発達な時代に発足しています。
現実への対応としては、地理的条件や社会的制約に合わせて、盛土や切土、溝や隧道(トンネル)、そして主として河川や谷の横断では、鉄橋が築かれました。
そして「踏切」です。鉄道は「踏切」といった不合理な要素を伴って、それを多く作りながら、その黎明期を過ごしました。
今でも、地方のローカル線に乗りますと、歩行者の「横断歩道」を逆にしたような踏切まで含めた、踏切の多さに驚きます。
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