新刊書の、保坂正康著朝日新書の『田中角栄の昭和』を読みました。すでに雑誌などで発表済みの部分もありますが、それについても相当に筆を加えているようです。
保坂氏は、昭和の歴史を発掘する高名なノンフィクション作家です。今回は、かなり推測を交えた論考ですが、現代の政界にもその政治的DNAを残す政治家であり、思わずなるほどと頷く箇所もありました。
現政権の有する根本的な問題点の源流が、意外にもかつての自民党の中でも『異形』とされた『宰相』に源流があるのかも知れません。政治を正攻法で推進せずに、常にある種の誤魔化しや、策動です進めようとする手法です。
政治家が、高邁な理想高度な整合性などを秘めながら、非合理的な政治の局に当たった場合、大衆の意識の「悲しき代弁者」に、足を掬われる場合がよくあるようです。
田中角栄の功績として、1972年の日中国交正常化が取り上げられます。しかし、時代の趨勢として数年遅れであっても遂行できたとすれば、現代に至るまで、多くの政治的弊害を、国政や地方政治にばら撒いた罪の方が大きく、「功罪相半ばする」とは言えないでしょう。ものである。と考えます。
本質的な問題は、政治風土を荒廃させた事です。無理が通れば道理が引っ込むとの例えのように、政治屋の台頭の機会を多く形成し、良質な政治家の言動を妨害した事です。
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