午前9時40分から昼の12時40分まで、市議会の図書室で、日本経済新聞の既刊(バックナンバー)の、7月1日号から8月中旬までの号を読みました。7月11日の実施された参議院選挙の下馬評や速報、その後の各党の動向などの「時の話題」は、賞味期限付きのものであると痛感しました。政局にのみ暗躍する政治家は、後世毀誉褒貶の論評の対象にさえならないものでしょう。
日経は、一定の識者を対象とした記述に徹しています。したがって、7月から8月中旬にかけて、日本のジャーナリズムが取り上げる、先の「戦争時代」あるいは「戦争に至る時代」の回顧の記述も、感情論を避けて、冷静に客観的になっているだけ、戦争に至る過程を、「冷笑的」に捉え、軍部に対しても「論外の愚昧集団」として扱う傾向があります。
その圧巻が、特集『戦争と言論』に登場する、石橋湛山評伝です。週刊経済誌『東洋経済新報』の主筆として、日本が自発的に植民地から撤退し、植民地「経営」の負担をなくす事が、日本の繁栄につながるといった『小日本主義』が紹介されています。現代から振り返れば完全な正論でしょう。
更に今回発見したのは、石橋湛山が民主主義の妙諦を知悉していた事実です。すなわち、政治思想弾圧を批判し、例えば共産主義に自由にさせ、その難点を批判すれば事足りるとした点です。
政治はあくまで、言論戦で戦うべきであって、言論の封殺では何ら解決策にならぬといった論調です。自分達の陣営に都合の悪い言動を封殺しさえすれば、それで事足りる、といった野蛮で暴力的な「未成熟な政治」は、国を滅ぼす元である、と熟知しているのです。
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