中学校の卒業式でよく歌われる合唱曲、『旅立ちの日に』について調べました。この曲の発祥の地は入間市に意外と近くであることを知り、というよりは遅れ馳せ乍ら気付いた私は、新鮮な驚きを覚えました。
入間市内の小・中学校の教員の出身割合の高い、秩父地方の中学校、秩父市立影森中学校でした。1991年(平成3年)に、校長が作詞、音楽教諭が作曲したものです。
作詞者の小嶋登さんの念頭には、若山牧水の短歌「白鳥は 悲しからずや 海の青 空の青に 染まず漂う」があったそうです。
作曲者の坂本浩美さんの即興的な曲想は、「勇気を翼に込めて 希望の風に乗り この広い大空に 夢を託して」の部分が最初に浮かび上がり、それを忘れないように譜面に書き留めて、直後に冒頭の旋律が付随的に加わったようです。それも、歌詞を受け取ってから、たった15分間程の作業であったようです。
背景には、「荒れる学校」への対策として、合唱による情操教育への熱意があります。秩父の山間の学校から、ある種偶発的ようであっても、必然的に創作された『旅立ちの日に』が、日本国中の中学校の卒業式で卒業生によって歌われるわけです。
教育文化が、地域から発進して、全国へ拡がる、特殊性と普遍性との取り合わせとして、興味深いものでもあります。
また、真の教育者の存在と、教育管理者の支配の二重構造が、私なりに浮き彫りとなってきました。
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