2年7か月程前に、時の自民党・公明党の連立政権を、舌鋒鋭く言葉巧みに「批判」し、対案の「マニフェスト」を盾として、総選挙に大勝し、日本の政権を担うことになった、民主党首班の現政権です。
この政権の成立の土台は、私なりに思えば、国民の側に、二つの要素があったのではないかと考えました。一つは、「政治に夢を託したい」といった、願望です。もう一つは、右寄り政党や宗教政党を忌避したがる、「リベラルな中道志向」です。
「政治に夢を・・・」というのは、一般大衆の願望でしょう。自公政権の「福祉切捨て」や「社会的な閉塞感」を、何とか解決してくれる、といった望みは、有る意味では不可能な事項でありながら、それでも何とか、と夢を追い求める人々を巧みに欺く、といったしたたかな戦略で民主党は勝ちました。
「リベラルな・・・」というのは、知識階級の永年の願望でしょう。政党に綱領が無く、右から左までの寄り合い所帯の民主党は、組織政党のくびきを脱した爽快感があったのでしょう。
しかし、内情は自由闊達な公論の場ではなく、呉越同舟といった長閑なものでもなく、面従腹背や策動の巷であった、といのが実態でしょう。
これは、日本国民にとって大きな、教訓となるでしょうか。唯、私が残念に思うのは、中庸を得た、政権担当能力を有する中道政治が、今後しばらくは遠ざかるであろうということ。更に、右翼思想や偏狭な国粋主義、排外主義や全体主義といった、既に歴史的に多大な教訓を以って葬り去られた筈の惨禍が、現政権への反動として、急速に、急激に台頭する兆候が見られることです。
後世の歴史から考えれば、現政権は、その政権担当時代よりも、その後の時代に、より大きな禍根となるように思え、危惧するところです。
また、敢えて付け加えるならば、比較的若く、知識水準の高い、中道志向で平和憲法を尊重する、良質な日本人のかなりの部分が、政治に就いて、癒し難い程の失望感を背負ったまま、今後生きてゆかざるを得ない事です。後世への大いなる禍根です。
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