「全体の破滅は避けなければならない。これは最優先の課題である」といった趣旨を、物理学者のアインシュタインは60年ほど前に唱えていたかと思います。 当然、政治的な最優先課題でなければならないでしょう。
中世の『マグナカルタ(大憲章)』(1215年)以来、為政者の恣意的な政治行動を、人民の権利擁護のために法的に規制する政治論、立憲主義は、課税権を基本とするものの、君主の領土的な野心による戦争を間接的に防止する実績があったものと解釈します。 近代国家での軍縮、核拡散防止も貢献したものと考えます。
哲学者カントの名著『永久平和の為に』(1795年)では、国家間の条約や協定、常備軍の廃止など画期的な理想が、展開されています。現在の国際連合の設立も、この著書が
もっとも、根本的な国家間対立や紛争の原因には、政治イデオロギーと同時に、かなり根強く、21世紀でも解決しない、自国の宗教的な優越主義があると考えます。
しからば、『宗教多元論』は、数ある神学の一学説に止まらずして、人類存続の唯一の手段であろう、と思われます。
それは、宗教的な寛容主義といった生半可なものとは異なり、基本的な宗教多元化であり、統一宗教の定立といった、末恐ろしいドグマ(独断)とは、全く正反対です。
作家遠藤周作氏は、「孤狸庵先生」を自称しており、私にとってユーモラスな存在としての印象が大きかったのですが、作家自身の基督教(キリスト教)徒として、立ち位置から日本および日本人を主題とした小説や論述が本領のようです。
氏は、自身クリスチャンとしての立場から、日本人を個体としても、集団(群れ)としても、独自に観察し、小説や論評することを以て、生涯の仕事(ライフワーク)とされたようです。
個々人が主体的な「宗教的」、「絶対的」倫理を具備しない、日本人が陥りやすい、集団的な同調に基づいた、醜悪な犯罪。米軍捕虜への「生体解剖殺人事件」の顛末を描いた、『海と毒薬』のが5年程前であったかと思い出します。
この度、氏の遺作的な性格の力作『深い河』を、一気に読みました。29日夕刻より初めて、読了したのは、30日午前1時台でした。
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