入間市民の大多数の方々は、暮らしの環境が急激に変化するのは、好まれないと拝察します。 生活にはある程度の市制の安定を前提とした、当面の設計があるではないでしょうか。実際の家計にとっても、市税の急激な増大などは、様々な弊害の根源ともなるでしょう。
市の行政の側でも、それに柔軟に対応すべく、激変緩和措置というものが、施策の中に組み込まれています。
例えば、市税を値上げするような条例改正があっても、本格的な値上げ幅は3年度後に実施され、1年度先、2年度先と、段階的に値上げするのが常態です。 これを経過措置とも呼んでいます。
市民の平穏な暮らしと、市の行政の柔軟な対応はそれで良いのですが、政治側つまり市議会議員の側は、必ずしもそうはならない様です。
すなわち、市議会議員の言行の中には、激変緩和の発想の真逆がかなり見受けられます。 穏やかに行動したのでは、市民の印象が薄くなり、政治力の低下につながりかねません。 それで存在感を発揮すべく、際立った目標設定、目を引く新規の制度導入や拡充を、唱えがちなのです。
今の時勢としては、全体的に市民の人口や購買力、経済活動などは徐々に縮小する方向にあり、市の施策としても、その方向にあらねばならない必然性がある、と市議会議員の誰もが認識はしているでしょう。
しかし、去る6月定例会の一般質問でも、まだまだ入間市が経済発展途上であることを前提としているような提言が多くありました。
私が監査委員として一般質問を控えており、市制の妥当性を判断するのではなく、決済の確実性に視点が移動しているので、余計にそのように思われるのかも知れません。 そのようが枷がなければ、私も同僚議員と五十歩百歩といったところでしょう。
ところで、古代ローマにファビウスという将軍がおりました。 紀元前3世紀末ごろ、カルタゴとローマとの戦役、第2次ポエニ戦争で、ローマを侵略してきハンニバル将軍のカルタゴ軍を、持久戦で撃破し、「ローマの盾」と讃えられています。
後世、持久戦法の代名詞として名を揚げられたり、イギリスで19世紀後期の設立以来続き、現在のイギリス労働党の支持団体でもある「フェビアン協会」も、ファビウスから取った名称のようです。
持久戦とまで厳しく言わなくとも、せめて「漸進主義」、厳密に表現すると「漸進改良主義」として、この2千数百年前の歴史的人物ファビウスにあやかった、「入間フェビアニズム」とでもいった、政治的発想が、今後求められていると考えています。
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