夜9時から、久方ぶりにテレビの『水戸黄門』を鑑賞しました。
水戸中納言光圀の水戸徳川家での藩主継承に纏わる経緯と、大義名分のある後継者の配慮。 それのしわ寄せとなる実子、松平頼常の御老公の夢の中での登場は、いくら大義とはいえ、息子を水戸藩主にせず、遥か遠くの髙松藩へんと、養子に出した潜在的な罪の意識を表しているようです。
五代将軍徳川綱吉と甲府藩主徳川綱豊との叔父甥の親戚関係は面白く、それに、将軍の傍用人で、悪役に描かれる柳沢吉保の暗躍が将軍継嗣問題にまで、纏わりつて来ます。
甲州街道での府中大国魂神社の賑わい、込み合った相部屋での庶民家族の痴話喧嘩への巻き添えの一件。 甲州では笛吹川の川岸を歩み、旅籠ではほうとうを食し、甲府の町中では、印伝を製造工程を含んだ紹介。
甲府金山奉行の大久保長安のかつての事件をモデルにした、金山奉行韮崎の天領から採掘された金の横流しの不正事件。
脚本は、大阪の米蔵界隈をその後の事件の伏線にして、阿波十郎兵衛の阿波徳島藩の米取引に絡んだ悲劇からヒントを得て、舞台を讃岐高松藩に置き換え、光圀の実子の藩主、松平頼常の謎めいた御乱行に移ります。 既視感でいえば、「尾張のうつけ」織田信長の少年時代を髣髴とさせます。
話のどんでん返しには少し無理がありますが、藩の貯蔵米にからむ不正も、柳沢吉保の陰謀とは、参りました。
終盤は、紀伊国屋文左衛門のチャーターした「紀文」印の帆船が、みかん船を連想させる、といった念の入った、筋書きで楽しめました。
光圀もとてもやれやれの旅で、綱豊にとっても庶民感覚を吸収した上での次期藩主(家宣)への自覚形成する、といったドイツ的には『教養小説』的な主題もありました。
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