本文では無く前書きですが、「論語」を読む人のために」の中で、これは!といえる箇所があり、引用させて頂きます。
「しかしその「天」は、人間をその罪悪と苦悩から無差別平等に救済せんとする大悲大慈の力ではなく、うしろ静かに人間個々の境遇や、能力や、努力のあとを照覧しつつ、それぞれの運命乃至使命を決定する力、即ち神というよりはむしろ自然法というに近いものであったにおである。」
衆生を洩れなく、超自然的な力で救済するのではなく、個々人のたゆまぬ努力に基づく道理に立脚している、正に教養小説の作者の立場です。
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