一般的に政治家、あるいは政治に携わる者は、社会の様々な事柄について通り一遍の知識を有するのは確かでしょう。他の職業に比べて、係わる人の数が多く、様々な価値観の人々と応接する機会でおいて、ともかく相手の意見を聴くことが不可欠なので、人間的に磨かれるからです。
しかし、「政治家」として大成する人の中には、相当な割合で、自己に都合よく周囲の環境を整える技術に長けている方も多いようです。したがって、通常の職業では、与えられた仕事を注文どおりに的確にこなすことを以って評価されるのとは、違った状況が生まれがちです。
政治家が、学校時代の成績があまり芳しくなかったり、専門職としての熟練度が進んでいないことが多いのも、うなずけるのではないでしょうか。要するに、世渡りのうまさ、特に政界遊泳術は、職業的な倫理や精神、その結果の熟達や社会的な評価とは、かなり異なっている場合が多いものです。
国政レベルでトップクラスの政治家が自説の普及や、政敵への舌鋒鋭い批判では、存分に雄弁でありながら、いざ執政の立場として行政を担う段となると、意外な程に基礎知識不足が露呈する場合があり、何らかの不祥事で守りの立場になると、簡単な答弁すらも的確に述べられない場合があります。
行政職として、普通公務員としての採用の時点で適性を認められ、長年の実務を研さんし、然るべき立場に「出世」して重職に就いている高官と比較して、驚くほどの「弱点」を有するのも、政治家の特質的な性格なのでしょう。
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