いかなる組織も、それ自体の規模拡大や増殖を指向するものでしょう。地方自治体でも、例えば居住人口の増減は、その自治体関係者にとって大きな関心事です。自治体経営の実績を測る、有力な指標となるからです。
しかし、開発主導型の政策の転換を、私宮岡治郎は、10数年来主張してきました。丘陵地帯や河岸段丘、元々の河川敷を、市街化区域として、住宅開発を進める政策には消極的です。
丘陵地帯の開発は、森林の喪失をもたらし、河岸段丘の開発は、土砂災害を誘発し、元河川敷の開発は、水害をもたらすからです。
更に、丘陵地帯の開発は、生活の上下の移動を伴います。いずれ居住者の高齢化によって生活や福祉の支障を拡大します。河岸段丘の開発は、擁壁の維持管理に負担をかけます。元河川敷の開発は、公的な排水施設設置要望やその施設の、恒久的な維持管理への財政負担や環境への負荷をもたらします。
日本全体の人口が、減少する時代です。居住可能の土地の範囲を拡大するのではなく、元来居住してきた、安全で安心、環境に適合した地区に人口を集中させるのが肝要でしょう。
市街地を促進すべき、市街化区域であるからといって、開発が待ったなしに促進されてきた根本原因の一つに、土地への固定資産税や 固定資産税の課税があったと考えられます。丘陵地帯や河岸段丘、元河川敷については、住居を他へ移転した場合、税の軽減を図ることも考えてはどうでしょうか。
個人的にも、公的にも、負担のかかる状況は、徐々に解消してゆくべきでしょう。
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