地方自治に係わる立場上、社会全体の構造あるいは前提について論ずるのは、越権行為となるかとも思います。が、企業家が社会の動向を見据えて、動向に合わせて事業の展開を判断するのと、政治家のあるべき立場は本質的に異なると考えます。
すなわち、政治家は、少なくとも社会に追随する存在ではなく、仮に社会に追随する政治家があるとすれば、政治家の本筋から外れていると見做さざるを得ません。
企業家ならば、利潤の追求は、非合法であったり公序良俗に反しない限り、その行動は広く認めるべきでしょう。そのような私的な利潤追求の集積と調整によって、結果的に社会全体の効率的な経済運営は遂行されるものと楽観します。
しかし、私的な利潤追求を以ってその本分とする政治家があるとすれば、政治家としての根源的な理由で、否定的に評価しなければならないでしょう。
政治家、特に立法府の政治家である議員とは、世の中の仕組みの根本を問い、好ましい仕組みを形成する目的でこそ存在意義があります。すなわち、「前提を定める役割」を担っているのです。
社会の趨勢に便乗したり、人気取り的な政策を提言し、社会の歪を是正するどころか、歪を助長するのでは、本末転倒どころか、有害無益、百害在って一利なし、という最悪の事態を招くでしょう。
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