昔、中国の杞という国の民が、「天が落ちてくるのではないか」と心配しました。この愚行、すなわち有り得ない事態に対する心配を「杞人の憂」あるいは「杞憂」といいます。
確かに、「天が落ちてくる」といった表現に相当する事態は、未来永劫起こりえないでしょう。が、大きな隕石の地球への衝突等、「天が落ちてくる」に匹敵する事態は、起こり得るでしょう。
たとえそうであっても、「天が落ちてくる」と同格の、天変地異に対して、杞の国の民は、何らの対抗策を持ち得ません。したがって、「杞憂」とは、無用の心配というよりも、無益な心配と解釈すべきかとも思われます。
この度、巨大地震とそこから派生した巨大津波、といった自然災害によって、多くの人的物的な被害が生じました。真に痛ましい事です。「千年に一度」の地震と云われたり、それ以上となるそうです。
この「想定外」の「未曾有」の災害についての対策は、立ててありませんでした、となるようですが、その先の評価は二つに分岐しそうです。
すなわち、高さ10メートルの防波堤は、津波が「軽々乗り越えた」としても、津波の速度と威力を幾分でも減退させたもの事実でしょう。また、高台か高台近くに設置された小・中学校の児童・生徒は学校施設内か、近くの高台まで避難して、助かっています。