外見よりも内実を重んずる傾向の強い分野があります。学芸も然り、官僚機構も本質的には然りでしょう。また、名誉でも儀礼でさえも、外見的な要素と内実的な要素とに分類可能のようでもあります。
入間市のドイツの姉妹都市ヴォルフラーツハウゼン市の場合、日本で通常当てはまる行政の最高責任者は『第一市長』であり、議会から「名誉職」として議会の互選で選出される役職に、『第二市長』と『第三市長』があります。
「名誉職」というだけあって。「現実的な政治権力」や「政争」からは遠ざかった存在です。全体の均衡を確保するためか、党派的な発言を控えるといった暗黙の了解と信頼があるためか、通例、『第一市長』とは反対側の政党から『第二市長』が選出され、更に、「市長与党」でも「市長野党」でもない、残りの少数会派から『第三市長』が選出されるようです。
『第二市長』の役職の存在目的は、『第一市長』が実務としての行政執行で繁多な際に、様々な公的な儀式で、『第一市長』の代理を務める事です。『第三市長』となりますと、『第二市長』も都合が付かない際に、『第一市長』と『第二市長』の代理を務めることです。
ヴォ市は、『第一市長』が、儀礼的な行事の都合で行政実務が滞る事はなく、また様々な公的行事で、『市長』と称する者の出席が無いことは滅多にない、という事なるでしょう。
地方自治の伝統の長いヴォ市らしい制度であろうか、と考えました。一般論として、内実指向ともいうべき行政職の専従公務員と、外見指向ともいうべき議員職の特別公務員とでは、適正も異なるものです。それ以上に、徹頭徹尾、形式指向儀礼指向の議員は多いものです。
何らかの行事に「市長」と名乗れる者が出席して、然るべき挨拶をしたとかしないとかにこだわる向きには、議会互選の『第二市長』、『第三市長』を振り向け、より多くの市民の生活の安全・安定に貢献すべく、『第一市長』は、実務に徹することが、出来るという訳です。
コメント