対抗勢力が保守的傾向がある場合に、「既得権の上に胡坐をかく輩」、といった批判の手法があります。 当を得ている場合もありますが、大抵の場合、論ずべき他の論点からのすり替えのキーワードとして使用される様です。
現実社会の諸々の制度は、様々の試行錯誤やの末に、多くの教訓を踏まえて、安定的な諸制度に落ち着いているのが事実でしょう。
かつて、江戸時代の幕政改革で、「株仲間」を解散した事が有りました。 天保の改革の一例です。 物価騰貴の原因を特権的な商人の独占のよるものと判断し、実施しました。 ところが弊害の方が大きかったようです。 具体的には、商品流通の基本ルートが破壊され、機能しなくなりました。 株仲間は特権による弊害よりも、商業の秩序を保つ貢献の方が大きかったのでしょう。
それともう一つ、「現状を変革する」といった主張は、一応眉に唾を付けて聴かなければなりません。 発言者が、それまでの信頼関係を断ち切る際に、自分にとって都合良く正当化する便宜的な手段として用いられる場合が多く、変革の筋道なるものが明示されない事も多いのです。
よって、現状の改良ならばまだしも、現状変革は、話者の自己の「正当化」の手段であはあっても、時間の経過を経れば、究極的に「正統性」の乏しい、空ろな言葉であるのが常套なのです。
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