岩波文庫が1927年(昭和2年)に創刊されたときの声明文『読書子の寄す』(読者の皆さんに申し上げます)は、「真理は万人によって求められることを自ら欲し、・・・」に始まります。以下、力強く格調の高い、豊かで高踏的な文章が続きます。
学問と芸術の本質を捉え、それらがこの世でどの様に有るべきか、的確に述べています。
国語力の問題でもありますが、常日頃真理や美について、弛まなく考察し理念を追求する習慣がなければ、このような文章は到底書けません。
この度、突然・突発的な事態で、多くの「抗議声明」を拝読する機会を得ました。大学の学長や学会の会長の義憤の文言の中に、それぞれの学際的な博学ぶりや専門分野の学識の深さが伺われます。
幸か不幸か、このような密度の濃い、やむにやまれぬ、死活的立場での言説に多く触れることになりました。各々の方々には、「はっきりとした守るべきもの」があるのです。
コメント