この所、大手新聞紙上に、英語の長文が記載される機会が2回ありました。1回目は、17日(土)に、日本全国の会場で実施された『大学入試センター試験』の出題の長文で、2回目は、日本時間の21日(水)未明にアメリカのワシントンで催された、大統領就任式でのオバマ新大統領の演説の全文です。
センター試験には、明確な「正解」が付いており、受験生や関係者は、目を皿のようにして凝視したことでしょう。その一方、大統領就任演説については、様々な有識者の論評がありますが、どれも断定的な「正解」ではありません。
高校生までの学習内容は、筋書き通りの、一定の範囲での通説をそのまま暫定的に「是」とする建前で成立しています。相当に詳細で濃密であっても、その基本構造には変わりはありません。例えば、「日本史B」で、幣原喜重郎について出題されたならば、「幣原協調外交」といった大前提で答えれば良いわけです。
ところが、「幣原外交」から約80年が経過している、21世紀の今日でも、歴史家の評価はまちまちです。「協調外交」とされるものが、むしろ日英間の関係を悪化させ、後の太平洋戦争を導いた、とする学者すらもいます。
ましてや、全世界がますます政治的、経済的に混迷を深める現在、アメリカ大統領の就任演説の効果判断や、今後の人類の運命を予測することは不可能です。大学受験までの限られたいわば「閉鎖水域内」での、約束事の整った学習とは、構造的に異なるものです。
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