学芸、すなわち学問と芸術は、一朝一夕に成立するものではありません。それらは、孤峰として屹立することは不可能で、多かれ少なかれ、学派や流派の中に胚胎し、継続性の維持の上で成長するものでしょう。それ故に、その学派や流派の継続性が、一端途切れてしまうと、復活の道程は困難となります。
政変や大きな社会変動、たとえば戦国時代や明治維新、先の敗戦に際して、旧文化が積極的に否定され、場合によって破壊されたこともありました。明治維新後の廃仏毀釈などが一例です。
しかし、真の学問や文化は、悠久の時代の流れの中に存在し、普遍的な価値を有するものでしょう。学芸の著書や作品の成立した時代の思潮の反映は、全体から見れば僅かな揺らめきに過ぎません。
政治宣伝(プロパガンダ)、経済的に援助した人々の私的な功名心や思惑、場合によっては虚栄心ですら、打ち消されるほど、真の学者の目的意識は真理の探求であり、芸術家の目的意識は美の追求でしょう。前者は校舎と並べて論ずるには、あまりに小さいものです。
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