視察3日目は、北海道函館市を視察しました。市の環境部の『日乃出クリーンセンター』は、清掃工場や下水終末処理場と同じ敷地内に位置します。
一次処理した処理水を、下水道施設へ放流するのが特徴です。また、2002年には、一次処理施設の無人化運転を開始し、同年の1市4町村の合併により、恵山町にあるクリーンセンターの処理分を含めて、『日乃出センター』で処理することになっています。
函館市は1941年、この日乃出町の天然の砂山に素堀りの貯留層を設けて、浸透と蒸発させた他、農村還元を図りました。1964年からは、津軽海峡の沖合い4,000mで、し尿の海中放流を開始していました。
この海中放流方式が安価な処理方式であったので、その後計画が進まず、海中放流方式が「法的」に問題になってから、計画が進んだという歴史的経緯には、感慨無量でした。
私は以前、神奈川県真鶴町を視察し、主たる視察目的とは別ながら、真鶴町と湯河原町との一部事務組合による、し尿処理がある時期まで太平洋のかなりの沖合いでの海中投棄であると聞き、かつての環境意識の水準を思いやったことがありました。
また、4年前に北海道根室市を視察した際に、北方4島がロシアの占領されている問題点の一つとして、下水の海への放流が掲げられた時、海洋の環境問題について、緊急な援助対策の必要性を考察したことを、思い出しました。
施設は基本的に古いので、多少臭気が残りました。様々な備品も一時代前のものでした。中央制御室は、数年前から無人化となっていますが、各種のデータはコンピューターで記録されていました。
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