政治を始め、実業界でも教育界、芸能界でも、実際の「局」に当たる人々の労苦は並々ならぬものがあるでしょう。現実的な対応を基盤に、一定の改良主義的な向上を、それも根気強く、ゆっくりと、着実に進める他に選択の余地のない場合がほとんどでしょう。二律背反する対立の中から、何らかの解決策を見出すしかすべがありません。
かつて、江戸時代の八代将軍徳川吉宗の『享保の改革』の一環として、『目安箱』といのがありました。将軍が直接目を通すというのですから、直訴となるでしょう。誰もが匿名で政策について提言出来、役人の不正の告発も多かったようです。
『目安箱』というブラックボックスを開けた時の緊張感は、かなりのものであったかも知れません。幕閣やその配下の役人にとって、都合の悪い事実が含まれていても、将軍直々に読まれてしまう制度です。
しかし、読む将軍や側近の側も、明らかに事実無根の内容や、冗談や戯言の類は予め仕分けたと考えられます。一見妥当であるようで、論旨の整った、理路整然とするようであっても、詭弁は排除し、告発については事実関係をよく吟味したものと考えられます。
そもそも、『目安箱』の設置以前に、想定された事態、想定されずに設置後に発生した事態にも、充分に対応出来るだけの、豊かな経験則、高度な判断力の自負がなければ、この制度は成立しなかったと考えられます。
現在型の目安箱として、インターネットの掲示板があります。意見は玉石混交といったところでしょうか。おそらく、江戸時代の目安箱も同様であったであろうと考えます。
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