昨晩と今晩にわたり、NHKスペシャル未解決事件『ファイル5 ロッキード事件』を視聴しました。
こ事件は、軍用機と航空機双方を生産するアメリカの航空機会社が、日本の民間航空会社への航空機売り込んだ際に、日本の政治家や政府高官に、商社幹部、航空機会社社長そして右翼を通して、賄賂が送られたとしています。 これが奏功して航空機会社は、当初の方針を変更して航空機を購入した、というのが、裁判でほぼ解明された、世上流布した「共通認識」である、といった前提があります。
単に民間航空会社が航空機を購入する際、監督官庁である当時の運輸省の、どの程度の許認可が必要であった等は、今もって私には不明で、納得できません。
NHKの番組は、それは「より深い真相」を糊塗するための暫定的な「真相」であり、軍用機の売り込みが、日本の防衛政策や国政に関わるより巨大で、遥かに、魑魅魍魎といえる「深い闇の真相」である、と可能な限りの究明を展開しています。
その中で、田中角栄という政治屋の映像や肉声が表示されます。 口跡が良くないとは当時から知られて来ましたが、街頭演説などの語り口などを映像と音声で視聴すると、全く羞恥心の無い節操の無い人物の裏の行動パターンが、表にあからさまに滲み出てきます。 押しなべて、居直り開き直りの論法であり、それを放置した日本の戦後の混乱期の残滓を見る思いです。
要するに、将棋でいう「ヘボ手」を適切な時期に、決然と咎めなかったのが諸悪の根源です。 そのために、その「ヘボ手」が生きてしまい、大幅な増殖を示し、徐々に天下御免までまかり通してしまう、といった連鎖で、日本の政治の汚点であるこのような失態に結び付いたという事でしょう。
児玉ルートにしても、余りにも単純明快で、浅はかな行動パターンであるが故に、その賄賂額の巨額によって、国民には多くの共通認識を持って、印象深いものとはなるでしょうが、決して「執政」や「国士」といた、次元ではなく、確かに「大きな闇」ではあっても「深い闇」とは無縁でしょう。
そもそも、高度な整合性とか、究極の政治判断や英断とは、まったく無縁な存在なのです。 一度平穏に決定した事項を、政治的に覆す事によって、「政治力」なるもの顕示して、際限も無く、節操も無く裏街道の政治を引きずり込む政治屋は、残念ながら、中央、地方を問わず、今の政界にも、多かれ少なかれいるものです。
私は、19年余りの政治活動で、意識的無意識的にかかわらず、その撲滅を志向し、一定の成果を上げてきたと自負しています。
但し、元商社マンの、「軍用機といった、魑魅魍魎(化け物)を扱うのであるから、商戦も魑魅魍魎とならざるを得ない」とは、「平和の商業」と「戦争の商業」を考えさせ、「死の商人」などのキーワードを想起し、平和の尊さを、極めて象徴的に暗示しており、示唆に富む、含蓄の深いものでした。
賄賂の柔らかい標的(ソウフト・ターゲット)といった「不名誉な地位を占めた」政治屋は浅はかでも、その商品が、軍用機である点に、「深い闇」が存在するのでしょうか。